屋根の形状の一つで、単純な形の屋根です(切妻とも称されます)。
シンプルな作りで、雨や雪に強く、全世界で見られる形状です。
同じ長さの二つの面で構成されており、開いた本を伏せたような山の形をしています。
(左右が同じ長さの「へ」の字のような形です。)
切妻屋根の「妻」は「端」という意味です。
建物の両側の壁(屋根がへの字に見える方の壁)の事を「妻壁」もしくは「妻」と言い、
この妻部分で屋根が切り落とされているので「切妻屋根」です。
単純な形なので、施工しやすく比較的に施工のコストも抑えられます。
複雑な形をしていないので、工事の期間が短くなる傾向にあります。
雨漏りがしやすいと言われている場所は、建材と建材が合わさった所(棟)です。複数の棟があるときは一番大きいのが大棟と言われます。この、棟が少ない方がリスクが少なくなります。
シンプルな作りの切妻屋根は、屋根のてっぺんの一か所だけが棟になります。
問題があったときに場所を特定しやすいですし、メンテナンスもしやすい屋根です。
(かならずしも直ぐに原因が分かるわけではありません。)
日本の気候にもあっていて雨に強いだけでなく、三角の屋根なので雪が積もりにくく落ちる場所が予想しやすいので対策もたてやすいです。
他にも長所と言われるところはありますが、昔からよく見られるだけあって使い勝手の良い形です。
メリットがたくさんある屋根ですが、もちろんデメリットもあります。
屋根の形をみてわかるように、妻壁の方が何もないので傷みやすいのです。
外壁から飛び出ている屋根の端の部分をケラバといい、そのケラバの下の側面部分にある部品を「破風板」と言います。
ケラバの裏側で壁から飛び出した屋根の裏側を軒天(軒裏)と言います。
この飛びだした「破風板」や屋根の裏側の「軒天」などには、雨や風、日光にもあたります。
屋根に守られていない場所になるため、そのために傷みやすいです。
軒先の長さによっては、太陽の光が入りづらくなります。かといって短くすると外壁に雨水や日光があたり建物が傷みやすくなります。外壁から遠い、真ん中の部屋は日の光が入りづらく暗くなる傾向にありますし、壁から遠いので真ん中の部屋まで風を通すのが大変です。
ストーブなどの暖房器具の風の動きを思い出してもらえるとわかると思いますが、熱は上に上がります。湿気や熱気が屋根裏にたまって家が熱くなってしまします。(上から太陽で屋根があったまって、下から熱気が上がってくると考えるとすごく熱そうです。)
長所と短所は表裏一体といいますが、雪が落ちる場所が決まっているので軒先に集中してしまうとも言えます。
世界中どこでもみられる屋根の形なので、洋風建築でも和風のお家でもどんな建物にも合いますが、反面どこにでもあるので個性がなくなりがちとも言えます。
古くからあるつくりの屋根なので、デメリットに対する対策はいろいろあります。
屋根裏の湿気や熱気の対策として換気棟(棟の所に換気棟という換気が出来る部材)を取り付けたり、妻壁に通気口を作ったりして風を通して熱を逃がしたりできます。
建築士の人や施工する業者の方に「どういうメリット・デメリットがある」か「その対策はあるか」を聞いてもらうのが一番わかりやすいかもしれません。