小話

方形屋根(ほうぎょうやね)

上から見ると正方形の形をした屋根で中心から四方向に傾斜があります。

横から見るとどの方向から見ても屋根の形は三角です。
宝形(ほうぎょう)と書かれる事もあります。

正方形の建物によくみられる、寄棟屋根の一種になります。
寄棟屋根との大きな違いは、屋根の頂上にある大棟がありません。
隅棟の線がすべて屋根の頂上にある「かき合い」に集まる形式の屋根になります。

一般の住宅ではあまり使われておらず、寺院などに多く使われているの屋根です。
有名な建築物としては、兵庫県の国宝浄土寺にある浄土堂があります(浄土堂以外のお堂も方形屋根で建てられているお堂もあります)。
四角以外の形もあります。六角形なら「六柱造り」・八角形なら「八柱造」と言われます。
奈良県にある国宝、興福寺の北円堂や法隆寺にある夢殿が八角形の八柱造りの方形屋根です。

四方に均等に屋根が配置されているので、風にも強く雨や雪を四方向に分散させることが出来るので、屋根の一面にかかる負荷が少なくなります。
すべての面に屋根があるので、日光や雨風から外壁をカバーすることができ、劣化を防ぐことが出来ます。
シンプルで頑丈な屋根なので雪が多い地域などにいいかもしれませんね。

重厚感のある見た目と耐久性の高さが良く聞くメリットです。

もちろんデメリットもあります。
屋根の頂上になる、かき合い部分があります。
屋根の結合部は雨漏りがしやすくなる傾向になりますので、かき合い部分は棟が集まる場所になり、雨漏りがしやすい場所と言われています。
長所は短所と言われることもあるように、雨や雪を分散させることが出来る反面、落ちる場所を特定できません。
一つの屋根面積が小さいので、太陽光発電システムを載せたい、には向いていません。屋根を有効活用するの難しいかもしれません。
どんな形状の屋根でも言っていますが、方形屋根も屋根裏の換気の悪さがあります。
四面全てを屋根が覆っているので換気のための部品が付けにくいのです。
切妻屋根(本を伏せたような形の屋根)などに比べると、複雑な形をしているので初期費用と工事期間が掛かると思います。メンテナンスも複雑な形の屋根なので一回の費用が高くなりがちだと思います。
方形屋根も寄棟屋根の一種ですので、基本的には耐久性の高い屋根になりますので、改修工事の回数は少なくなる見込みもあります。
ノウハウもいろいろあるでしょうから、建築士の人や施工する業者の方に相談していただければ、デメリットといわれる所を解消する手段はあると思います。